キリモミ君の冒険 その41
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古びた映像の光と影に・・・(五)
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カメラに向かってウズラちゃんのお父さんが話していた。 「ウズラ、理解するまで時間がかかるかもしれない。だが、これだけはわかってくれ。深く考えた末に、これが一番の選択肢だと悟ったんだ。だから、この計画に乗ることにした。」 お母さんも泣いているようだった。 「私は前澤教授の言っていることを理解できなかった。私は自分が持っている力、才能を誇りに思っていたし、単純な話、それを褒めてくれる人、必要としてくれる人がいれば嬉しかったんだ。ましてやそれが莫大な利益を生み、世界でも有数の金持ちになれるということになれば、ね。前澤教授は『出来ることよりすべきことをやれ』と言った。だが、私は若すぎた。私は自分が持てる力で悪魔の心臓を作り出してしまったのだ。あれほど大きな犠牲を目の前にして、やっと自分の力が利用されているにすぎないことを悟ったんだよ。 こんな私を救い出してくれたのは前澤教授の息子さんだ。彼からの提案を受け入れ、私たちはこの世の中から存在を消してもらうことにした。名前も捨てる。そして、私たちを捜して追ってくる人間達から逃れるために、町の多くの人々が協力してくれて、私たち二人に関する全ての情報、記録を消去したのだ。名前、顔、声、指紋、書いた文字。何も、何ひとつも残っていないはずだ。」 * * * その頃、『大いなる機械』の心臓部の部屋では自白装置に固定された用務員のおじさんと黒服の男、そして廃人のようになってしまった二代目饅久が向き合っていた。 |
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