キリモミ君の冒険 その38
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古びた映像の光と影に・・・(二)
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丘の上で、チンザ君による上映が始まったのと丁度同じころ、用務員のおじさんは『大いなる機械』の心臓部にある一室に連れ込まれていた。そこには巨大な装置があって、スカーフにサングラスの女とヘラヘラ男、そして十人程度の白衣を着た研究員らしき人間達が周りを取り囲んでいた。 スカーフの女は表情の無い声で言った。 「覚悟を決めるのね。長い夜になりそうだわ。」 用務員のおじさんはその巨大な装置の中央にあるシートに座らされ、両手、両足を動けないように固定されてしまった。 その部屋の入口から、黒服に身を包んだ一人の男が入ってきた。さっき、夜の公園に現れた男だった。用務員のおじさんは言った。 「殺すのか? いつでも覚悟は出来ているぞ。」 男は気味の悪い笑みを浮かべて言った。 「殺す? 人聞きの悪いことを言わないでくれよ。なに、そんな手荒なことをするつもりはないよ。ちょっと眠気を催す程度のことだ。その間に必要なことをその口からしゃべってもらうがね。」 用務員のおじさんは男を睨みつけた。 「『自白装置』か。お前らが作り出すような物は、そんな程度の物ばかりだな。」 「憎まれ口も今のうちだぞ。・・・善人ぶった仮面をかぶっていられるのも、な。・・・始めるか。」 その時、白衣を着た研究員の一人が口を開いた。 「本当に、やるんですか? 私は反対です。危険過ぎます。後遺症が残らないという保証はどこにもないんです。」 「保証があるかないかは今夜ここでわかるじゃないか。いいか? こうして技術は進歩していくんだぞ。」 用務員のおじさんは、そんな研究員の様子をみていて突然笑いだした。 「ハハハッ、技術か・・・、ハハッ。進歩、ね。時代は繰り返すんだな。覚えているか? 私たちの間にもそんなことがあったじゃないか。」 黒服の男はその言葉に返事をしなかった。ただ低い声でこう言った。 「実はね、この装置を使うのは今日で二度目なんだよ。一度目は残念ながら問題が残ってね・・・。あいつを知っているかな? 実際に会ったことはないかもしれないが、名前は知ってるだろう?」 部屋の奥の扉が開き、車椅子に乗せられた男が運ばれてきた。うつろな目には光が全く感じられなかった。口からはよだれを垂らして何か独り言のようにつぶやいていた。 「私が社長の饅久(まんきゅう)です。饅頭(まんじゅう)の饅に永久の久・・・。」 |
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