おっさんの鼻ちょうちん

 キリモミ君達はその声の主、あったりめえのおっさんに会うために、あったりめえの関所へと向かった。が、しかし、おっさんはすっかり酔いつぶれていて、すでにいびきをかいて寝てしまっていたのだ。
キリモミ君、ウズラちゃん、そしてプロトタイプは顔を見合わせた。意味深な発言をしたおっさんに聞きたいことは山ほどあったのに・・・。
再び、これからどうすべきか考え込むことになったウズラちゃんとプロトタイプだったが、そんな二人をよそにキリモミ君は別のことに興味を示していたのだ。
あったりめえのおっさんの片方の鼻の穴からは大きな鼻ちょうちんが次々と飛び出してきて、それはすき間の中をふわふわと風船のように夜空に向かって浮かんでいく・・・。こんな面白いものをキリモミ君がほうっておくわけがなかった。キリモミ君は鼻ちょうちんの風船を飛んでいく前に一つひとつ捕まえて集め始めたのである。それはいつしか数十、数百という数になってしまった。キリモミ君の悲鳴を聞いてハッとしたウズラちゃんが見てみると、キリモミ君は風船の浮力にとうとう耐えきれなくなって地面から浮かび上がろうとしていたのだ。それでもあったりめえのおっさんの鼻の穴からは次から次へと鼻ちょうちんが生産され、それはキリモミ君が集めた風船とくっつきあって、どんどん、どんどんと数を増やしていっている。
「大変、キリモミ君が飛んでいってしまうわ!」
ウズラちゃんはキリモミ君の足につかまり、どうにか抑えようとしたが、そんなウズラちゃんも宙に浮き上がってしまった。プロトタイプはあわててウズラちゃんの足をつかんだが・・・。
そうしてとうとうキリモミ君、ウズラちゃん、プロトタイプの三人とポケットの中の二匹のネズミは、建物と建物の間のすき間から浮かび上がり、おりからの南風に乗って、町外れの丘の方角に飛ばされて行ってしまったのだ。



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