白い地下室

 キリモミ君は、地下で硬いコンクリートの壁にぶちあたったものの、今度はポケットの中から錐を取り出して、あっという間にそこにも穴を開けてしまった。白い光が漏れてくるその穴からキリモミ君とウズラちゃん、そしてチューは中をのぞき込んだ。そこはどこかの建物の地下室のようだった。その部屋には十数人程の人間がいたが、どの人の目にも明るい光は見えず、真っ白く塗られた四角い空間で、ただ目の前の画面を見つめ続けているのだった。
「一体、みんな何をしているんだろ?」
キリモミ君は目を白黒させながらチューに話しかけた。ところが、ウズラちゃんはとんでもないことに気がついたのである。彼等が見つめている画面には手術台のようなところに乗せられた、キリモミ君が写っていたのだ。
「あっ、あそこにキリモミ君が写っているわ!」
キリモミ君は目を白黒させた。
「だって僕はここにいるよ。」
確かにそうだった。よくよく見てみればキリモミ君よりずっときれいな格好をしていて・・・、紛れもなくあれは例のプロトタイプだったのだ。
「なにやってんだろ、あいつ。」
キリモミ君はのんきな声を出したがウズラちゃんには事態がすぐに飲み込めた。
「また、連中に捕まっちゃったんだわ!」
そう、かわいそうなプロトタイプは再び誘拐されてしまい、今、まさにこれから分解されそうになっているのだった。
「早く助け出してあげなくちゃ!」
ウズラちゃんは気ばかりが焦ってしまって・・・しかし、どうすることも出来なかった。その時、キリモミ君はハッとしてウズラちゃんに言った。
「いいアイデアがあるよ。」
そのアイデアとやらを聞かされたチューは嫌な予感がした。
それはあまりにも危険な賭けに思えたからであった。



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