路上の贋(にせ)町会長

 朝の磨かれたような陽の光の中でキリモミ君は目を覚ました。大きく体を伸ばし、首を伸ばして目を白黒させ、あたりをぐるりと見回すとそこはウズラちゃんの腕の中だった、というわけだ。
いつもならここでとぼけたことの一つでも言うところだが、ウズラちゃんの目に涙がたまっているのを見たキリモミ君は、とてもそんなことを言うような状況ではないことを感じ取った。
「どうしたの? ウズラちゃん。」
ウズラちゃんはハッとして、目を覚ましたばかりのキリモミ君に事の経緯を話して聞かせた。そして、キリモミ君が酒場の客たちにバラバラにされてから今の今までの出来事をひととおり話し終えると、立ち上がって力強い声で言った。
「そんなことより、早く用務員のおじさんを捜さなくちゃ。」
そうしてウズラちゃんとキリモミ君は、ポケットの中のチューとともに再び用務員のおじさんの家があった場所へと繰り出して行ったのだった。



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