窓に灯る仄(ほの)かなあかり

 ある夜のことである。
いつものようにあの電機屋の窓にはいつまでも仄かなあかりが灯っていた。
町の人々の認識では、その電機屋はここ数年開店休業の状態で、看板を外す気力さえなくそのままの状態になっている、というようなところだった。
「だいたいが、・・・」
と人々は言った。
「あんな町の電機屋がやって行けたのは二十年前くらいまでだったね。
そう、あそこのじいさまが元気でやっていたころまでかな。じいさまの、あの息子が戻って来て駄目にしたようなもんだな。」
別の人はこう言った。
「そういえば、あの電機屋の息子、じいさまが死んでからというもの、ぱったりと姿を見せなくなったよなあ。」
また、ある人は声をひそめてささやくように言った。
「あの人、食べて行けなくなって、最近じゃ夜中にゴミ集めしてるっていう噂だよ。あんなことじゃあ、じいさまも浮かばれないだろうに・・・。」
 その窓の仄かなあかりは夜半を過ぎても消えなかった。



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