飯能市中心部で継承される10台の山車は、かつては各神社の祭礼に曳き出されたものだが、郷土芸能の保存・伝承のため昭和46年より合同の市民まつりとして盛大に行われるようになった。山車は全て4輪で梶が付き、回り舞台を持つものもある。河原町、原町は人形を、前田は諫皷鳥を飾る。他の山車は単層の屋台型で、囃子台が広いので天狐や獅子、ひょっとこなどの面をつけた踊り手がダイナミックかつユニークに踊りを披露する。猿、河童、鬼などの踊りも見られた。
初日の前夜祭では夏まつりで活躍の底抜け屋台が集結し、囃子の競演を行う。本祭、大通りに集まった山車は当番町の山車を先頭に巡行し、昼過ぎ、NTT前に展示される。午後は東銀座通りを経て駅前通りで横一列に並び、一斉に囃子、踊りの競演“引き合わせ”が行われる。その後露天商の建ち並ぶ銀座通りを巡行、提灯に明かりを入れ夜の曳き廻しを待つ。午後6時半頃、東町交差点に5〜6台ほど集まった山車は巨大な太鼓みこしを迎え、観衆で埋め尽くされた交差点が盛り上がる。午後7時40分、大通りのまつり本部前では再び全ての山車が横一列に並び、来賓も居並ぶ前で2回目の引き合わせを行う。
山車は2基の万灯と華やかな衣装の女の子による手古舞に先導され曳き廻される。辻々で数台の山車が出会うと向き合い、囃子の腕を競い合う“曳っかわせ”が始まる。激しく踊る天狐がタイミングをはかり手から細い紙テープを投げると、瞬時に広がる無数の白糸は観衆も巻き込み、歓声が沸き辻全体が興奮のるつぼと化す。見せ場の多い晩秋のまつり。(2002年11月3日)
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