日本の曳山祭

中部 三熊野神社大祭
4月第一土曜・日曜/静岡県掛川市横須賀/三熊野神社

遠州横須賀では、江戸期に神田や山王の祭礼で見られた古典的な一本柱万燈型人形山車が現在も曳かれる。『祢里(ねり)』と呼ばれ、二輪で一本柱の万燈を掲げ、最上段に人形を中心とした作り物を飾る。二輪の祢里は「したっしたっ」の掛け声と軽快な囃子に合わせ、上下左右に揺らせながら少しずつ進む。曳き手は細かく足踏みしながら練る。祢里、曳き手、そして囃子と踊りが絶妙に絡み合い、ひとつの生き物が通りを移動していくようだ。
土曜は宵宮。朝、神社境内に13台の祢里が集まり、本殿前に組まれた舞台で当番町による囃子・踊りが奉納される(奉納演技)。囃子は県指定無形民俗文化財第1号の三社祭礼囃子。日曜は本楽で、子授けの神事や地固めの舞、田遊びの神事が行われ、神社から御旅所に向かい神輿が渡御される。神輿の行列にネンネコ様と呼ぶ人形が女装した男性に抱かれて従う。夜、万燈に灯りが入り提灯で飾った13台の祢里は、順に境内に入り左右に並び、千秋楽が行われ、手締めののち祭りの幕が下りる。
かつての江戸祭礼文化は各地に波及し、それぞれの祭りは独自に進化していったが、この地域では、既に絶えてしまったと思われた一本柱万燈型山車が形状をほぼ保ったまま残り、祭礼形態はより洗練され磨き上げられていった。魅力的な祭りであることは十分に観て取れるが、極め付けは9月に行われる「ちいねり」だ。各町所有の小振りな祢里が登場するこの祭礼は、中学生が中心になり子どもだけで運営される。子どものうちから祭りの意義や楽しみを体でおぼえ、そしてまた次代に引き継いでいくのだろう。(2007年4月8日)





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